仏壇の漆塗り技法を活かした金継ぎ作品の海外販売


金継ぎ作品の海外展開
Isono Revitalizing Office









漆職人の杉中氏は本職の仏壇の漆塗り以外でも独特の凹凸や欠けを作った木地に一つ一つ指で文様を描き、そこに丁寧に手で漆を塗るなど、アイデアを活かしたオリジナルの漆器を発表されています。
2021年9月からは、当オフィスと共に、世界的に話題が高まりつつある「金継ぎ」をテーマに越境ECを開始しました。
https://kintsugilabo.com/

金継ぎとは割れた陶磁器を漆でつなぎ合わせる日本独自の漆の技法で、その起源は西暦1400年頃だと言われています。
壊れた作品を再びよみがえらせるという意味でサステイナブルなアートです。最近では、壊れた心をつなぎ合わせる、分断された世の中を再びつなぎ合わせる、といったマインドフルネス的な意味合いでも、欧米を中心に金継ぎの文化が高く評価されています。ただし、金継ぎ作品を制作するにあたって、わざと新品の器を割ってしまうとサステイナブルなアートと呼べなくなってしまいます。そのため、物を大事にするという金継ぎの精神にのっとり、コラボレーターから割れやヒビがあって売り物にならない陶磁器を調達しています。金継ぎだけにとどまらず、蒔絵や様々な技法を駆使して、他にはない独自の金継ぎ作品を制作しています。

滋賀県には日本一大きな「琵琶湖」があります。滋賀県長浜市はその北側の地域に位置しています。長浜市の国友町は、かつて有名な鉄砲鍛冶がいて、「浜仏壇」という独自の仏壇製造で有名な場所です。
滋賀県では国が指定する伝統的工芸品の「彦根仏壇」が全国的に名高いですが、「浜仏壇」は滋賀県が指定する工芸品に認定されています。「浜仏壇」の特徴は、彦根仏壇以上に豪華な内装と立派な木彫です。今では重要文化財となっている山車作りに携わった職人が作り始めた仏壇が「浜仏壇」の由来と言われています。

日本の他の仏壇産地の例に漏れず、浜仏壇も近年の日本人の仏壇離れによる需要減で、厳しい状況が続いています。
仏壇店「宗永堂」店主の杉中氏は非常に腕の良い仏壇の漆塗職人として、様々な仏壇企業や寺院から依頼を受けるだけではなく、ご自身で小菊壇という小型仏壇の企画・デザイン・製造・メンテナンスを一貫して手がけています。小菊壇は細部にわたり技術的に大変手が込んでいます。特に継ぎ目なく凹凸が連続する天井の縁にきれいに漆を塗るだけではなく、一切傷をつけることなく炭で磨き上げる工程は、根気と共に高い技能が必要です。

漆塗全般に言えることですが、産地ごとに塗りの特徴を出すことが難しいこと、きれいに塗ったとしても特に海外の方に対して価値を伝えることが難しいこと、という2つの難題に対応する必要があります。

【産地ごとに塗りの特徴を出すのが難しい点】
一般的に漆を塗っただけでは典型的な漆器になってしまうため、他産地との違いを出すのが非常に難しいです。差別化の難しさは和紙にも通じる点もあり、産地というより誰が作ったか?という点が重要になってきます。あえて厚く漆を塗り固めたり、アクセサリーを作ったり、作り手によって様々な工夫が見えてきます。

【きれいに漆を塗ったとしても特に海外の方に対してその価値を伝えることが難しいという点】
海外の方々が日本の漆器を見ると「きれいすぎて合成塗料をプラスチックに塗ったものと区別がつかない」という反応が多くあります。
日本人の間では、「漆=高級」というイメージが共有できているためにこういう反応は少ないのですが、前提となる漆塗りの知識がほとんどない海外の方には「なんでこんなに高いのかわからない」となりがちです。むしろ漆塗りを完成させず、製作途中のものの方が海外の方にはむしろウケが良い場合もあり、このことは意外と広く日本の漆職人たちに共有されています。

このプロジェクトは宗永堂との共同開発事業です。

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宗永堂(そうえいどう)
所在地:〒526-0001 滋賀県長浜市国友789
電話:0749-63-7769
FAX:0749-63-8286
定休日:年中無休(年末年始を除く)
営業時間:8時30分から18時
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