麻にしかできない価値を伝える


近江上布伝統産業会館のブランディング
Isono Revitalizing Office





びわ湖から少し離れた滋賀県愛荘町。ここは滋賀県に3つある国指定伝統的工芸品の1つである近江上布の産地です。絹が多い工芸品の中にあって、近江上布は麻布(あさぬの)の産地という珍しい立ち位置にあります。江戸時代には、麻布の産地として、奈良県の奈良晒や新潟県の越後縮といった高級麻織物と並び称されるほどの産地となりました。

現在、麻は昔ほど流通することがなくなりました。どの織物にも言えることですが、糸を布にするのと同じくらい、原材料から糸を作る工程が大変です。特に麻は絹や綿と比較して繊維が短く、糸を作るのに大変な手間がかかることもあり、どうしても高価になってしまいます。しかし、麻でしか得られない独特の風合いに加え、抗菌性や耐久性の高さから、根強いニーズがあります。特に、コロナウイルスの流行以降、肌触りの良いマスクが大変人気です。

愛荘町を訪問するとわかるのですが、湿度が高く、水が豊富で布を生産するための好条件に恵まれています。特に、麻で一般的な西洋から導入されたリネン(亜麻)ではなく、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)という日本に古くからある麻を中心に取り扱われているのが大きな特徴です。ラミーやヘンプは貧弱な土地でも育ち、環境負荷が少ないエコな素材として、特にヨーロッパで注目を集めています。

ラミーは繊維が強く、強度があるため強い洗濯にも耐えます。天然繊維の中では最も清涼感があるため、まさに夏に適した素材と言えます。ヘンプはラミーよりも更に強度が高い布を作ることができ、適度な吸湿・吸汗性も備えているため、夏だけではなく寒い季節にも適した素材です。ヘンプ(大麻)というと麻薬をイメージされる方もいらっしゃいますが、一般的に流通するヘンプはマリファナ成分がない産業用大麻から作成されたものです。ただし、日本ではどうしてもイメージの問題もあり流通量が少なく、海外ラグジュアリーブランドでの採用を通じて、逆に価値を認識するという状況です。

そんな中にあって、近江上布伝統産業会館は2020年に趣ある歴史的建造物を再生する形で移転し、伝統的工芸品である手織りの近江上布だけではなく、機械織りの新しいブランドの開発を進めています。より多くのナチュラルな生活を愛する方々に向け、納得感ある製品を開発し、情報を届けていきたいと考えています。そのため、従来は電話とファックスを中心とした販売体制でしたが、ネットショップの構築を含め、今の時代にふさわしい販路開拓を実施中です。

このプロジェクトは近江上布伝統産業会館との共同開発事業です。

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所在地:〒529-1331 滋賀県愛知郡愛荘町愛知川32-2
電話:0749-42-3246
FAX:0749-42-6488
定休日:月曜日
営業時間:10時から17時
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